今週、院内でセラピスト(臨床家)を対象に、「研究疑問の立て方」という勉強会を行いました。臨床でも内外から「研究」が求められている、というリハビリテーション関連領域における(急速な?)時代の潮流を感じます。
私に求められていることは、「(研究初心者の)臨床家がどうしたら研究が進められるのか?」という疑問・悩みに、何らかの補助線を引くことでした。
準備期間はほとんどなかったので、自分の経験(体験と教えてもらったこと)を想起しながら、構成しました。また、タイムリーさが必要だったので、プレゼンしながら修正していきました(修正の余地あり)。ということを念頭にしつつ、ご興味あれば、以下をご参照ください。
1.なぜ研究計画を立てる必要があるのか?
2.(生産的な)研究計画の立て方
という内容で行いました。以下にスライドから抜粋してご紹介します。
研究計画書の機能
研究計画書の構成
私に求められていることは、「(研究初心者の)臨床家がどうしたら研究が進められるのか?」という疑問・悩みに、何らかの補助線を引くことでした。
準備期間はほとんどなかったので、自分の経験(体験と教えてもらったこと)を想起しながら、構成しました。また、タイムリーさが必要だったので、プレゼンしながら修正していきました(修正の余地あり)。ということを念頭にしつつ、ご興味あれば、以下をご参照ください。
1.なぜ研究計画を立てる必要があるのか?
2.(生産的な)研究計画の立て方
という内容で行いました。以下にスライドから抜粋してご紹介します。
陥りがちな落とし穴
- 「手当たり次第」文献を集める →途方に暮れる
- 「なんとなく」計画を立てる →不一致が生じる
- 「とりあえず」データを取る →不足が生じる
- 研究計画を明確にできる(書くことで考える。また、明瞭に書くことで他者と議論できる)
- 見積もりができる(必要な役割分担や必要なスケジュールがわかる。研究の管理運営に係る)
- 研究の質に直結する(良い計画がなければ、良い結果は得られない。あらかじめ失敗を回避できる)
- 発表資料の一部となる(論文や発表資料として利用可)
- 背景:なぜこの研究をする必要があるのか?を導く
- 研究目的(疑問)、意義:この研究によって何を明らかにし、何に貢献するのか?を示す
- 方法:目的達成のために必要な手段(PICOあるいはPECO)、方法の質の担保、研究に係る見積もり、
- 資料:同意書や承諾書、(その他:調査用紙、インタビューガイドなど)
研究計画の立て方
- 研究疑問を見極め、モデル論文を用意し、専門家に相談する
研究疑問を見極める(1)
- 自分が研究しようと思う動機を考えることが重要。困難に陥ったときに立ち返ることができる。
- 臨床的な苛立ち(自らの実践から生じた重要ではあるが答えを得られない疑問を感じた症例など)は、研究のトピックや探究心を与え、良い動機となる。
- 日頃から関心のある領域の論文を読み、実践することを繰り返す中で、疑問が育つ。
研究疑問を見極めるための資料収集
- 研究疑問の背景となる領域を特定し、関係する用語を書き出す(キーワード集が役立つ)。
- キーワード検索を行う。
- カテゴリーに分け、それぞれをまとめて文章化する(全体→個別)、また、関連用語を把握する
- その領域全体の動向を文章化する(個別→全体)
- 研究疑問の背景にある領域は何か、その領域で誰が何をやってきたのか、逆に何がされていないかを熟知する
研究疑問を見極める(2)
- 何を研究するかは、結局は研究者自身が決める。
- その研究疑問には、貴重な時間と労力を費やして答える価値が本当にあるのか? を問う姿勢が必要。
- 「問題を解く」よりも「問題を見極める」
モデル論文を見つけるのが有効
- モデル論文を常に手元に置いておくことで、その研究計画に書くべき情報がわかる。
- モデル論文の選び方(2種類必要)
- 仮説や考え方、方向性、結論があなたの研究と類似している(その領域のKeyとなる論文)
- 使っている方法が、あなたがやろうとしていることに類似している(最新の論文)
巨人の上に立つ(専門家に相談する)
- 関心のある領域の深い理解は一朝一夕にはできない。その領域の専門家への相談が効果的である。
- 専門家には広範な知識ばかりでなく、検索ではヒットしないようなアイデア、工夫など「論文では一見わからない(苦労と)ノウハウ」を持っている。
まとめ
- 研究計画を書くことは、研究の労力を減らし、研究の価値を高めることにつながる。
- 貴重な時間を使うからには、生産性を上げたい。そこで、研究計画の立て方が重要。
- ポイントは、①研究疑問を見極め、②モデル論文を用意すること。③専門家に相談すること。
いくつかのスライドの内容をご紹介しました。少しでも臨床家の方々の臨床がより深まり、興味深い研究が増え、結果、対象者の方への貢献が拡大・増大して行ったらいいなと思っています。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
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