9月28日に湘南OTさんでプレゼンさせて頂きました.前日には神奈川県脳卒中カンファレンスで事例報告をさせてもらい,ひと段落したので久しぶりにブログを更新します.
ここでは内容を参加者の方の振り返りとして,また参加はしなかったけど興味をもったよという方のために丸山の感想も含めて書かせてもらいます.
今回のテーマは,リーズニングの利用(実践と教育)ということで
「実践をよりよくするために,自分たちの実践から学ぼう(学ぶことが出来る)」
ということがメインテーマでした.
会場は茅ケ崎市民文化会館で,ここは自分たちの専門学校の入学式&卒業式をした場所であり,そして専門学校時代同級生の村仲さんと一緒に講師を行うということは非常に感慨深かったです.
午前の部の村仲さんの話を聞いていて,
作業療法においては,機械には代替できない「Art」の部分が重要であるということ
そして,その「Art」と「Science」をつなぐものがリーズニングであると解釈しました.
またエキスパートになるために,どう経験を積んでいくか?「振り返り」を大事にしていこうという視点を提示して頂きました.
午後の部は丸山が担当で
クライアントのために実践をよりよくしていきましょう
というところから
まずは,まぜ実践(Top)から学ぶことが重要なのか?
暗黙知や認知パターンと語彙数について,自転車の例を用いてさらっと説明させてもらいました.また,教育がContentsからProcessに視点が移行していることについても触れました.
そして,どう実践を捉えるのか?という問題設定が重要だというドナルド・ショーンの指摘を軸に,実践を捉える切り口として
「厳密性」と「適切性」,「主観性」と「客観性」
について,事例を交えながら説明させてもらいました.
そして,
クリニカルリーズニングの研究動向について
主に「実践」と「教育」に関連しており,最近は「実践」の身障領域やコミュニティの研究が増加していること.そして名称変更.
コミュニティOTのリーズニングが影響を受ける因子について.(:特に実践文脈の影響が強い)
そして実践家こそがリーズニングを利用する価値があるということを説明させてもらいました.
また,研究の話では,現在分析途上であるプログラムとシナリオの視点について,紹介させてもらいました.
演習では,
リーズニング概念の応用(シナリオ)と,プログラムという切り口を利用することを提案しました.
アンケートを見させていただくと,演習を通して,「実践でのリーズニングを振り返り,自分のセラピーに対して再発見があった」という感想を頂けていたので,持ち帰ってもらうお土産(実践の振り返り方)はお渡しできたのではないかなぁと感じました.
しかし,講義を振り返ってみると,プレゼン能力のなさなどから参加者の方にはわかりにくさなどあったかと思います.まだまだ未熟者だなぁと反省しております.すみませんでした.
あたたかく質問して下さった方や,最後まで参加して下さった参加者の皆さまに感謝致します.
また,勉強会などで,今回の演習の視点をいろいろ試してもらって結構ですし,やってみた感想などを教えて頂ければありがたいです.本当はもっと時間をとってじっくりできるといいのかなぁと思っています.
自分はまずは研究をすすめて論文を書いていきます.そうしたらもっと整理して知見をお伝えできるかもしれません.
最後まで読んで下さりありがとうございました.
以下,文献です.
実践の問題について
l ドナルドAショーン著・柳沢昌一訳: 省察的実践とは何か―プロフェッショナルの行為と思考―.鳳書房,2007.
l マイケルポランニー著・高橋勇夫訳:暗黙知の次元.筑摩書房,2003.
l 中村雄二郎:臨床の知とは何か.岩波新書,1992.
l パトリシア・ベナー著・井部俊子訳:ベナー看護論新訳版―初心者から達人へ―.医学書院,2005.
l 上田敏:リハビリテーションを考える-障害者の全人間的復権-.青木書店,1983.
l Anne G. Fisher: Occupational Therapy Intervention Process Model: A
Model for Planning and Implementing Top-down, Client-centered, and
Occupation-based Interventions. Three Star Press, 2009.
l 高根正昭: 創造の方法学. 講談社現代新書, 1979.
l 橋爪大三郎: はじめての構造主義. 講談社現代新書, 1988.
以下はいっぱいあるのでとりあえず主要なもののみを載せておきました.上の二つが教科書でわかりやすく書かれております.
作業療法リーズニングについて
l 村田和香: 研究とEBMの立証: 作業療法リーズニング. 山田孝,長谷龍太郎(編): 標準作業療法学-作業療法研究法-. 第2版, 医学書院, 163-169, 2012.
l 長谷龍太郎: 作業療法介入と疾患・障害特性および実際: 作業療法の介入. 長谷龍太郎(編)発達障害領域の作業療法. pp84-98, 中央法規, 2011.
l Schell BAB:Professional
Reasoning in Practice. Crepeau EB, Cohn ES Ed, Willard & Spackman’s
occupational therapy, 11th Edition, pp314-327, J.B.Lippincott &
Co., 2008.
l J Higgs, MA Jones: Clinical decision making and multiple problem
spaces. J Higgs, MA Jones, S Loftus, N Christemsen Ed, Clinical reasoning in
the health professions. 3rd Edition, p3-17, 2008.
l Mattingly
& Fleming: Clinical reasoning -Forms of inquiry in a therapeutic practice- .
F.A.Davis, 1994.
l 長谷龍太郎,山田孝:作業療法におけるクリニカルリーズニング概念の活用に関する文献的研究.日本保健科学学会誌,9(4):256-267,2007.
l 長谷龍太郎,山田孝:脳性マヒ児に対する作業療法におけるクリニカルリーズニング区分の研究.日本保健科学学会誌,10(2):101-115,2007.
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