前編の続きになります。
論文投稿初心者の立場から、臨床家が論文投稿を行うための一つの参考として、以下のA-Dに分けて私見をまとめました。
A. なんで論文投稿するの?
B. モチベーションはどこにあるのか?
C. どうやって投稿するのか?
D. どこの雑誌に投稿するのか?
前編に続いて、後輩たちに向けて
C. どうやって投稿するのか?
D. どこの雑誌に投稿するのか?
を書きたいと思います。
C. どうやって投稿(執筆)するのか?
まずは学会発表へ出してみることからはじめると良いかなと思います。とかく、この内容で良いのだろうか?と悩む人もいるかと思います。そういう時はよく発表している仲間・先輩とこんなことを考えているんだけど、と相談すると良いかと思います。
また、研究の場合には、研究計画書を各段階ですでに詳細に準備されます。事例報告や事例研究でもこの準備が重要かなと思います。事後的に振り返ることもあるかと思いますが、多くの場合は後から補足するには難しいと感じます。普段から自分が関心のあるテーマについて、下調べをしておきつつ臨床に向かうことで、論文化の時に求められる水準(先行研究との関係及び新規性、方法の洗練など)が事後的に考えるよりも二段階くらい上がるように思います。
臨床家がいつもこういう構えで臨床を展開していくと、職場や組織グループの中でディスカッションが活発になったり、創造しやすい環境になるのではないかなと思います。
論文化するため勉強としてオススメの方法は、論文(を書いている人)から学ぶということです。論文をよく読めというのは聞くのですが、僕もそうでしたが「そもそも読み方がわからない」という相談が多々あります。僕の場合ですが、著者がどういう疑問から?どんな視点や背景を持って?どう解決しようとしていったのか?といった全体のストーリーを掴みながら読んでいくと、理解しやすいように思います。また、書き方についても参考になります。論文には、ある程度の型(起・承・転・結など)があると思うので、その型を意識しながら読むと、自分がいざ論文を書く時に手がかりになると思います。
あとは、僕の場合は、読むだけではなんとなくわかったつもりになりがちですので、最近は読んだ論文の内容を手書きでノートにまとめるようにしています。そうすることで、他の論文と比較したり言葉の違いなどにも気づくようになり、理解が深まるように思うので、こういった方法もオススメです。
それと、非常に重要だと思うのは、他者から助言をもらうことです。
「いや、そんなことわかっている」と言われそうですが、特にタイミングが大切かなと思います。最近、思うのは事例報告でも研究でも、この構想段階で良いアドバイスをもらえることがポイントだと思います。職場でも後輩から助言を求められることもありますが、原稿提出のギリギリになって助言を、と言われても修正可能な幅がだいぶ狭くなりように思います。
事業や研究の創造性は、初期が一番高くなり、次第に創造性から現実的な側面に落とし込んでいく必要があります。創造性は、著者のオリジナリティであり、事例報告や研究において、「キモ」であると思います。その著者のオリジナルな点を明確にしたほうが、全体の流れも決まりやすいと思います。だから、創造性の高い、初期の頃に他者から助言をもらうことが有効だと思います。
それと、論文投稿をすること自体は、意外と地味な作業が大多数ですから、工程を細分化できれば(もちろん内容が伴っている必要があるかと思いますが)、一定たどり着けるゴールなんじゃないかなと思います。臨床家で、まとまった時間が取れないというのはわかります。しかし、こまめに時間を見つけて細分化された工程を着実に進められれば、時間はかかっても、臨床家であっても、やってやれないことはないのかなと思います。
D. どこの雑誌に投稿するのか?
この問題ですが、まずは投稿先を決めなくてはいけないと思います。投稿規定というものがありますので、それを読んで内容が合っているか確かめる必要があります。
「風林火山」論文の場合は、学会発表の時に「作業に焦点を当てた実践までの道のり」というとてもユニークな演題の枠組みに提出させていただきましたので、迷わず、そのままその学会の運営する「日本臨床作業療法研究」という雑誌に投稿させていただきました。
この雑誌はオープンアクセスという特徴があり、ネット環境があればフリーに閲覧できます。僕は、大学の図書館が近くにないので、気になったことがあればググって、すぐに本文が手に入る論文はとても重宝しています(もちろん、必要であれば、図書館に行って取り寄せもしますが、労力がかかります)。
そういった誰に読んでもらいたいのか?読者がアクセスしやすいものなのか?といった点からも、そもそもの論文を書く目的と照らして、検討してみても良いかと思います。
それと、投稿してみて思ったことですが、査読者の先生に、査読してもらうと勉強になります。過去に3本を日本臨床作業療法研究に掲載してもらいましたが、いずれも査読者の先生が、鋭く・的確に指摘してくれていました。査読していただき、自分の未熟さがかなりあったことを反省しつつ、査読者の先生には本当に感謝しています。
どこの雑誌がどうだというには、一概には言えないと思います。もちろん、どこに投稿するのかは、最終的には自分で決定することではあります。しかし、業界の中での評判もあろうかと思いますので、事前にその業界に詳しい方に意見をもらうこともオススメします。
***
ここまで、自分の経験に基づいて論文投稿をしたいと思う人の後押しができたらと思って書いてきました。先輩方から見て、不足や偏った意見が気になった部分があったかと思いますが、若輩者の一意見としてご容赦ください。
このブログを読んだ方々の、臨床と研究とが交わるハードルが少しでも下がったならば幸いです。
論文投稿初心者の立場から、臨床家が論文投稿を行うための一つの参考として、以下のA-Dに分けて私見をまとめました。
A. なんで論文投稿するの?
B. モチベーションはどこにあるのか?
C. どうやって投稿するのか?
D. どこの雑誌に投稿するのか?
前編に続いて、後輩たちに向けて
C. どうやって投稿するのか?
D. どこの雑誌に投稿するのか?
を書きたいと思います。
C. どうやって投稿(執筆)するのか?
まずは学会発表へ出してみることからはじめると良いかなと思います。とかく、この内容で良いのだろうか?と悩む人もいるかと思います。そういう時はよく発表している仲間・先輩とこんなことを考えているんだけど、と相談すると良いかと思います。
また、研究の場合には、研究計画書を各段階ですでに詳細に準備されます。事例報告や事例研究でもこの準備が重要かなと思います。事後的に振り返ることもあるかと思いますが、多くの場合は後から補足するには難しいと感じます。普段から自分が関心のあるテーマについて、下調べをしておきつつ臨床に向かうことで、論文化の時に求められる水準(先行研究との関係及び新規性、方法の洗練など)が事後的に考えるよりも二段階くらい上がるように思います。
臨床家がいつもこういう構えで臨床を展開していくと、職場や組織グループの中でディスカッションが活発になったり、創造しやすい環境になるのではないかなと思います。
論文化するため勉強としてオススメの方法は、論文(を書いている人)から学ぶということです。論文をよく読めというのは聞くのですが、僕もそうでしたが「そもそも読み方がわからない」という相談が多々あります。僕の場合ですが、著者がどういう疑問から?どんな視点や背景を持って?どう解決しようとしていったのか?といった全体のストーリーを掴みながら読んでいくと、理解しやすいように思います。また、書き方についても参考になります。論文には、ある程度の型(起・承・転・結など)があると思うので、その型を意識しながら読むと、自分がいざ論文を書く時に手がかりになると思います。
あとは、僕の場合は、読むだけではなんとなくわかったつもりになりがちですので、最近は読んだ論文の内容を手書きでノートにまとめるようにしています。そうすることで、他の論文と比較したり言葉の違いなどにも気づくようになり、理解が深まるように思うので、こういった方法もオススメです。
それと、非常に重要だと思うのは、他者から助言をもらうことです。
「いや、そんなことわかっている」と言われそうですが、特にタイミングが大切かなと思います。最近、思うのは事例報告でも研究でも、この構想段階で良いアドバイスをもらえることがポイントだと思います。職場でも後輩から助言を求められることもありますが、原稿提出のギリギリになって助言を、と言われても修正可能な幅がだいぶ狭くなりように思います。
事業や研究の創造性は、初期が一番高くなり、次第に創造性から現実的な側面に落とし込んでいく必要があります。創造性は、著者のオリジナリティであり、事例報告や研究において、「キモ」であると思います。その著者のオリジナルな点を明確にしたほうが、全体の流れも決まりやすいと思います。だから、創造性の高い、初期の頃に他者から助言をもらうことが有効だと思います。
それと、論文投稿をすること自体は、意外と地味な作業が大多数ですから、工程を細分化できれば(もちろん内容が伴っている必要があるかと思いますが)、一定たどり着けるゴールなんじゃないかなと思います。臨床家で、まとまった時間が取れないというのはわかります。しかし、こまめに時間を見つけて細分化された工程を着実に進められれば、時間はかかっても、臨床家であっても、やってやれないことはないのかなと思います。
D. どこの雑誌に投稿するのか?
この問題ですが、まずは投稿先を決めなくてはいけないと思います。投稿規定というものがありますので、それを読んで内容が合っているか確かめる必要があります。
「風林火山」論文の場合は、学会発表の時に「作業に焦点を当てた実践までの道のり」というとてもユニークな演題の枠組みに提出させていただきましたので、迷わず、そのままその学会の運営する「日本臨床作業療法研究」という雑誌に投稿させていただきました。
この雑誌はオープンアクセスという特徴があり、ネット環境があればフリーに閲覧できます。僕は、大学の図書館が近くにないので、気になったことがあればググって、すぐに本文が手に入る論文はとても重宝しています(もちろん、必要であれば、図書館に行って取り寄せもしますが、労力がかかります)。
そういった誰に読んでもらいたいのか?読者がアクセスしやすいものなのか?といった点からも、そもそもの論文を書く目的と照らして、検討してみても良いかと思います。
それと、投稿してみて思ったことですが、査読者の先生に、査読してもらうと勉強になります。過去に3本を日本臨床作業療法研究に掲載してもらいましたが、いずれも査読者の先生が、鋭く・的確に指摘してくれていました。査読していただき、自分の未熟さがかなりあったことを反省しつつ、査読者の先生には本当に感謝しています。
どこの雑誌がどうだというには、一概には言えないと思います。もちろん、どこに投稿するのかは、最終的には自分で決定することではあります。しかし、業界の中での評判もあろうかと思いますので、事前にその業界に詳しい方に意見をもらうこともオススメします。
***
ここまで、自分の経験に基づいて論文投稿をしたいと思う人の後押しができたらと思って書いてきました。先輩方から見て、不足や偏った意見が気になった部分があったかと思いますが、若輩者の一意見としてご容赦ください。
このブログを読んだ方々の、臨床と研究とが交わるハードルが少しでも下がったならば幸いです。
コメント