スキップしてメイン コンテンツに移動

リーズニング講座(岐阜)に参加してきました

夏以来,久しぶりの更新です.

2016年2月13‐14日 岐阜で行われたクリニカルリーズニング講座に参加してきましたので ご報告します.


【開催概要】
開催案内文(開催ホームページhttp://kokucheese.com/event/index/355919/ より)

「考える力を鍛えるクリニカル・リーズニング講座」 
インターネット、文献などへのアクセスの容易さから情報量が膨大化する一方、臨床における思考過程の他力化が進んでいると言われています。その結果、クライエントにサービスを提供する上で必要な知識や技術と思考過程とが分離し、セラピストの総合的な経験を極端に不足させることにつながっています。多くの情報の中から必要な情報をいかに選択し、個別に適用できるかが重要であり、その積み重ねを無くしてセラピストの熟達は成しえないのではないでしょうか?なぜ、そのクライエントに、その作業療法を提供しましたか?その根拠を説明できますか?危機感を覚えている方、「考える力を鍛える、クリニカル・リーズニング講座」にご参加下さい。 


【長谷先生の講義を通して感じたこと】

・デイのモデル
これは科学的リーズニングの基礎となるもので,
 原因 と 問題点把握
 治療原理 と 治療仮説
 治療の作業(活動)の選択と実施
 治療目標の設定
という治療計画に含まれる内容・要素の流れを 系統図(ダイヤグラム)でしめしたものでした.

この関係性を図式化して 整理することで どのように思考したのかという 過程がみえやすくなります.
現在 評価実習の学生が来ていることもあり このように並列に 考えていく思考過程は 非常に分かりやすくなるなと感じました.


そしてこのような科学的なリーズニングについて まずはきっちりと押えた上で 他の 叙述的リーズニングなどを考えていくというやり方も参考になりました.
つまり情報を クリニカルリーズニングの類型に応じて 色分けしながら 整理して考えると わかりやすくなりました.
 


・メイトランドの臨床コミュニケーション
これは,コミュニケーションの問題をセラピスト側とクライアント側の双方でのエラーの分析です.このプロセスを「コミュニケーションの交差」としていました.

 「私が話した(と あなたが思っている)内容を
 あなたが 理解できている」と 信じていることは
 私にはよくわかります.
 しかし 私には
 あなたが「(私から)聞いた」と理解していること が
 「私が伝えたかったこと」とは 違うのではと
 不安です.


メイトランドは このコミュニケーションの交差を第1~9までのプロセスで分析しています.
驚きなのはメイトランドはマニュアルセラピーの本のなかでこのことを扱っているということです.

デイのモデルで 科学的なリーズニングを緻密に組み上げ
そして 臨床でのコミュニケーションを 分析する

臨床家としては 非常に振り返ることの多い研修会でした.




【丸山のプレ講座】

13日のAMに行われました.

 

過去の事例を通してなぜリーズニング概念に着目したのかを ご紹介




そしてリーズニング概念の利用について 文献研究から





最後に 丸山の修士課程の研究の知見を ご紹介しました




 
プレ講座を担当させて頂いて とても緊張しましたが 熱い臨床家の方々があつまる 非常にあたたかな研修会でした.

そんな雰囲気はとても居心地がよく 有意義な時間が過ごせました.
運営スタッフの方々に感謝申し上げます.






3月6日には 長野でクリニカルリーズニング講座として お話させていただく予定となっております.
丸山の 講義とグループワーク形式で 一緒にクリニカルリーズニングについて学び 臨床のことを考えていきたいと思います.


読んで下さりありがとうございました.



コメント

このブログの人気の投稿

人間作業モデル(MOHO)の評価「VQ(意志質問紙)の臨床的活用」

VQ(意志質問紙)の活用に関する勉強会をしました。 その備忘録として、一部の内容(あくまで臨床で活用するための個人的な解釈に拠ります)をご紹介します。 *** なお、本勉強会は、マニュアルを参考にしつつ、個人的な経験と解釈を加えて資料を作成しましたことをご了承ください。 da las Halas CG. Geist R. Kielhofner G(山田孝・訳):意志質問紙法(VQ)改訂第 4 版使用者手引書.日本作業行動学会,東京, 2009. まず、この勉強会では、VQを知って、自分たちの臨床実践に取り入れていったらよいのではないか、という見立てのもと行われました。 臨床では、回復期リハ病棟であっても、病棟生活をより充実して過ごして頂くために、集団活動プログラムが行われているところもあります。また、マンツーマンであっても、対象者の方の心理・社会的な側面を捉えアプローチしている場面も多々あります。 ですので、「客観性に立脚」した評価に加え、「対象者の主観性に立脚」した評価の両側面から捉える必要があると言われています。 しかし、いざ対象者の主観性を捉えようとしても、どんな視点を持って観察したらよいのかわからないというのもあります。 また、語れない、筆記できない対象者もいらっしゃいます。そんな時に観察型の評価であるVQが役立つと思われます。 また、VQの14の質問項目は、セラピストの観察の目を肥やすのに役立つだろうし、観察したものを言語化して、分析し、他職種や家族などに伝える際にも役立つと思われます。 そして、VQを知ることは、人間の作業行動を知ることでもあると思います。 なぜ、作業歴や生活歴を聞くのか、なぜ作業の環境設定にいちいちこだわるのか。 人間作業モデルのリーズニングに繋がっていくのではないでしょうか。 *** 詳しくは、マニュアルを参照下さい(日本人間作業モデル研究所HP) http://rimohoj.or.jp/manual.html 人間作業モデルの勉強を始めたい方はこちらの記事へ 「臨床で使ってみよう。 人間作業モデル 」

ESI講習会

茨城県立医療大学に来ています。 ESI は社会交流技能評価です とても興味深く、早く使いこなせるようになりたいです 講師の Anne先生はとてもパワフルです。 ケータイから投稿でした。

臨床で使ってみよう!人間作業モデル

人間作業モデルは、普段自分たちが取り組んでいる「作業療法」とはなにか? そのルーツにはなにがあるのか?といった作業療法の本質を捉え直す意味でも、とても重要な理論だと改めて学びました。 https://www.google.co.jp/search?q=%E4%BA%BA%E9%96%93%E4%BD%9C%E6%A5%AD%E3%83%A2%E3%83%87%E3%83%AB&rlz=1C5CHFA_enJP719JP719&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwjj1tHz34DeAhVbQN4KHedhBNUQ_AUIDygC&biw=1440&bih=789#imgrc=0chem47fV6VXKM: 人間作業モデルを発表したキールホフナー先生は、作業療法の歴史研究においても論文が評価されていると言われています。 キールホフナー先生は、トーマス・クーン先生のパラダイム理論を使って、作業療法の歴史が前パラダイムから作業パラダイム、機械論パラダイム、途中に危機を経つつ、現代のパラダイムに移行していくことを示しました。 キールホフナー先生の師匠であるマリー・ライリー先生は、作業行動理論を提唱して、その後の人間作業モデルや作業科学へと影響を与えたと言われています。 僕はクリニカルリーズニングに興味があるので、このあたりの歴史は非常に興味深く思いました。 人間作業モデルは、日本語版で第4版まで出版されています。 初版の人間作業モデルの日本語版が発刊されてから、約30年が経とうとしています。 日本語版のツールもいくつも出版されています。 最近では、人間作業モデルの日本の事例集も出版されました。 理論書とツール、事例本と、これだけの臨床と実践をつなぐ手掛かりが用意されています。 人間作業モデルを起点に、臨床家でいろいろな議論をするのも面白いかもしれないですね。 僕自身も、人間作業モデルの事例報告を初めて投稿して「作業行動研究」に掲載されました! →回復期リハビリテーション病棟でのクリニカルリーズニングの変化に関する論文が掲載されました。 http://maruyama